2013年9月30日月曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.10

『村田さン家(ち)』
”で、どんな格好が好きなん?テイストとか、ブランドとか、あんの?”
”まだ全然分からないんですけど.....僕、人とは違う格好がしたいです!”
三井寿の”バスケがしたいです”並みにズキュンときた。
今から7、8年前の入社初日に堀江店でタムーと交わした最初の会話だ。
”人とは違う格好がしたい。”
僕が服屋に入った時と同じ気持ちだった。
変な自信とかではない信念みたいなものをその時、感じた。

そもそもなぜタムーなのか?
それはタムー入社1日前に遡る。

堀江店にて。
浅浦さん『明日からタムーくるぞ。 』
僕『タムーですか?田村君ですか?』
浅浦さん『そうや。』
...出勤したらその子は”村田”だった。
僕『間違えてますよ、浅浦さん。あの子、村田ですよ。』
浅浦さん『そうか。もう、タムーでええやろ、呼んでもうたし。』
そんな理由で...
それ以来、今までずっとタムーだ。

当初の印象は”キムタクを意識した滋賀の子”。実際、髪も長かった。身長は170cmの僕より低い。足も短くお世辞にも良いスタイルなんて言えない。最近、世間で錦戸亮なんて言われたこともあるらしいが僕から見たらせいぜい錦野旦が関の山だ。いつか落とし穴に落としたいと思っている。

そんなタムーが相談してきた。
『結婚指輪、インディアンジュエリーで作れないですか?』
『ブランドとか興味ないですし自分が本当に気に入った、人とは違うような指輪がしたいんです。』
あの日に戻る。
”フラッシュバック”
こいつ変わらんな。
あれから何年経ってもタムーはタムーのままだった。
そんな些細な事が嬉しかった。
一肌脱ぎたい気持ちになってそれを快く引き受けた。

(余談)
アメリカ買い付け6日目。
直接、パットの家にオーダーしていたリングを引き取りにLAGUNAへと向かった。
初日に出会った時はまだ出来上がっていなかったので2、3日で仕上げてくれたのだろう。相当、急かせてしまった事になる。悪いなとは思ったが結婚式に間に合わなければ意味が無い。

その日、パットはインディアンの会合で留守だという。マーラとクリスが笑顔で出迎えてくれた。僕は到着してすぐに急いで出来上がったリングを確認した。


24Kのファインゴールドとブラックのジルコニウム。
それはそれは素晴らしい出来のインディアンジュエリーが姿を現した。
”Fantastic...”
納得の出来。納期も問題ない。一安心であった。

マーラ、クリスとお茶を飲みながらの世間話。
20分くらいが過ぎた。ふと頭をよぎる。
”そういえばこれいくらになったんやろ? ”
金、銀、銅はその日のレートで価格が変動する。作る前に聞いてみたが出来上がらないとはっきりとしたプライスは分からないとしか答えてくれなかった。ただ、同素材のバングルの値段は知っていたのでリングなら大体これくらいだろうと予想はしていた。
”メッチャ高くても10万くらいやろな”

マーラに値段を聞いた。”私は聞いてないわ。メールで確認してみるね。”
しばらくするとパットから返信が来た。マーラはメールを僕に見せてくれた。
〜〜〜
〜〜〜
$3500?
〜〜〜
ん?
読み返す。
〜〜〜
$3500............
なんで。
サザエさんのエピソードなんかである0一個多いやつか?
もう一度見直す。
$3500。
$1=¥100として¥350000−やんな。
違うか?
いや、合ってるわ。
合ってんな.....


....さ、さ、さ35万円ーーー!


意識が飛びそうになった。
血の気が引くとはこの事か。
頭が真っ白になるとはこの事か。
マーラとクリスは何か喋っていたが全く覚えていない。
上の空過ぎてどんな感じでお別れしたのかも曖昧だった。

スペシャルオーダーと急かせた事もありキャンセルは不可能。買取は必至だった。
”どうしたものか?安くなると言ってもさすがにこの値段はタムーも無理やろな?”
色んな案が頭を駆け巡る。しかし、一つとしていい案など思い浮かばない。
結局、タムーにお願いするしか方法はなかった。

自分でもビックリするくらいの長文のメールをLINEで送った。
待つ。見る。待つ。見る。
既読なのに返信が無い。迷っている?相談している?断る理由を考えている?
良くない返事を想像する。
そんな時、タムーからの返信。

『買います!!』

”Oh,Jesus"
目の前が開け、すーっと肩の荷が降りていくのを感じた。
これから”村田”と書いて”おとこぎ”と読む。


9月22日、晴天。京都。
笑顔の多い結婚式だった。
二人の晴れ姿。
祝福する仲間達。
素晴らしき時間。
心から”おめでとう”。

”タムーへ”
結婚指輪とは”途切れることのない永遠の絆”を表すらしい。
ただ、僕は勝手にそれだけではない様な気がしている。
頼んだ事への責任、人を思いやる気持ち、お嫁さんの理解、ファッションへの信念。
その指輪は大げさにも”あなたを映す鏡”のように感じてならない。
変わらない為に磨き続けること。
大変でしょうが二人なら出来る。
そう僕は信じています。

”村田さン家(ち)”のますますのご多幸ご健勝を心よりお祈り申し上げます。

P.S ”ブログじゃなくメールせいや”と言う声が聞こえる。

続く。

2013年9月29日日曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.9

『楽園』

濃緑の長いトンネルを抜けると楽園であった。
昼の日がキラキラと輝く。
駐車場にフォードを停めた。 


車の座席から立ち上がり、めいっぱいの深呼吸をした。土のニオイがする。僕は廻りを見渡しながら自然と笑顔になっていた。木々の生い茂る庭へと歩き始めて、誰かと会話しているかの様に
「メッチャいいな、メッチャいいな。」
独り言の音量ではない声が響いた。


羽を広げてゆっくり近づいて来たその鳥は、気品あるハイエロファントグリーン。艶やかな群青いろの胴体でメスの鳥を誘惑していた。
こんなところに孔雀かと遠くを眺めると、バラックのような小屋には山羊、ニワトリ、亀が方々に散らばっていて、それぞれが好き勝手な間取りで我が物顔にシェアしていた。昼の日は眩しく、時間が過ぎていくのを忘れてしまうくらいの空気に身を委ねる心地良さがそこにあった。


ニューメキシコ州
ロスポブラノスの土地で「薬草」として様々な用途に使われてきたラベンダー。その豊かな自然の贈り物であるラベンダーの良さを感じてもらい、いらして下さったゲストの方々によりリラックスして頂きたい、とのオーナーの強い想いでヴィラのアメニティとしてスタートしたのでロスポブラノスのラベンダーボディケアコレクションの始まりです。スタート時の部屋数はわずか6部屋。そのお部屋のためだけにロスポブラノスのオーナーであるレンビ氏が試行錯誤を繰り返しレシピと作ったアメニティが評判を呼び、現在のコレクションが誕生しました。 

 

一人、庭のベンチでラベンダー味のアイスクリームを食す。
本当はベタなバニラがよかった。
でもここはラベンダーが有名らしい。
半ば強制的に自分プレッシャー。
...思ってた5倍くらいうまい。 
次、来た時も食べる。

続く。


2013年9月28日土曜日

ALternA NEW ITEM " METAPHORE KNIT "

こんにちは。

日中の日差しはまだまだ暑いですが、風が気持ちよくなっています。
自分のバイクも修理完了しいまからいい季節。

今日みたな晴天は走りにいきたい気分です。

さて本日入荷がございましたのでご紹介。

"METAPOHRE"






































price : 21.000 yen
col : gray
size 2.3

度詰めの5ゲージモヘアウールを使用したパチワークニット。
計4種類の糸でブロックパッチワークを形成し、長年着用のほつれ、つぎはぎ補修されたニットを表現しています。デザインポイントが袖先に集中している為、ジャケット等の下に着用した際はプレーンなスタイリングを楽しめる。





















 


price : 18.900
col : khaki / beige
size : 2 . 3

ふくらみ感のあるアルパカミックスウールを使用したラグランスリーブニット。
遠目で見るとプレーンなニットですが、バストラインで天竺の編み方が逆転します。袖口はリブになっており伸び防止のガーター編みが施されています。
遠目で見るとシンプルだが近くで見るとデザインが見えてくるデザインニットです。




















 


price : 18.900 yen
col : orange / gray
size : 2 . 3

ドライタッチの度詰め5ゲージ梳毛糸を使用したバックボーダーニット。
表からはプレーンな見え方、背面はデザイン製の高いくりぬきボーダー。バックパッカーにリスペクトを込めて作ったニット。彼らの背中にはいつもバックパックの居場所がある。
そこには柄などが入る余地はない・・・。


2013.9.29
ALternA Matsuura

2013年9月18日水曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.8

『続々々•SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
アーティストとの直接のやりとり。そんな事が出来るのもこのマーケットの醍醐味だろう。
ジュエリーに限らず、作り手からの直接の声と言うものは不思議と魅力があるものだ。
 
 Ken.Romero
"Ken Romero(ケン・ロメロ)"
雑誌やネットでの登場も多いナバホ族のトップジュエラー。
この人のインレイと呼ばれる石を嵌め込む技術、そしてカラーリングは素晴らしい。
ふんだんに使用した一つ一つの石のクォリティの高さもこの人が有名になった要因だ。
こんな贅沢な作品をつくるアーティストはそうは多くない。
しかし、あまり僕の好みではない。やりすぎ感が少し恥ずかしいと思ってしまう。
そんな彼のブースを見つけて有名人を見る感覚で少し覗いてみた。

このブースも盛況でとにかく人がすごい。
僕は人混みに紛れて冷やかし半分で試着してみる事にした。
一つのバングルを手首につける。
反射的に思う。
”これはさすがにやりすぎだ”

想像する。
これをもし買って帰ったとしたら.....
後輩が半ニヤで”メッチャゴツイのつけてますやん”といじってくるのが目に浮かぶ。
全然いらないくせに”一回つけさせて下さいよ”と興味のあるフリをするヤツも必ずいる。
”あのバングル見た?見失ってるよな。どこ向かってるんやろな”という陰口まで聞こえてくる。
.....長介ばりの”ダメだこりゃ”
声が漏れる。

戻そうと思っていると作った本人ケン・ロメロが声を掛けてくる。
『それ最高だろう?今回の中で俺の一番の自信作なんだ。』
長髪の凛々しい顔。独特な雰囲気がある。有名人を見た時のオーラみたいなモノを感じる。ケンはキラキラと目を輝かしながら話し始めた。デザイン、カラーリング、石の説明、製作の過程などジュエリーへの情熱をこれでもかと言う程ぶつけてくる。
説得力がある。
この男、澄まし顔のくせにアツい。
この感じ、嫌いじゃない。

自分の手首を見返してみる。
不思議な事にすでにそのバングルは”やりすぎ”ではなくなっていた。”いや、むしろこの感じを探していた”とさえ錯覚してしまう。さっきの妄想も搔き消すくらいの物欲がガルルと襲ってくる。
頭がファ〜っとなっている。
”.....これいったろかな”
危うく、クレジットカードを渡しそうになる。

熟考している僕にケンが名前を訊いてきた。
僕は持っていた名刺を渡しながら名前を言った。
『ケンジロー?お前にもケンがつくのか。オレの名前もケンだ!一緒じゃないかっ!ワッハッハ。』
テンションが一気に上がって強めに肩を組んでくるケン・ロメロ。ブラザー的な感じで距離を縮めてくる。僕はそのテンションの上がり方にちょっと引いた。
そして、心の中で思う。
”ちょっと遠くないですか?”

地元が一緒だ。分かる。
高校の先輩だ。分かる。
名前の”ケン”が一緒だ。結構いるっしょ。ちょっと遠いっしょ。
”ケンジロー”なら話は分かる。それなら僕も肩を組み返す。
でも、この人は”ケンジロー”じゃない。
ただの”ケン”だ。2文字しかあっていない。
”えっ、君、山田っていうの?!ウッソー。オレ、山村。”山”一緒やん。奇遇やな”でがっつり握手は出来ない。
温度差。
僕は”ちょっと考えます”と言ってその場を立ち去った。

結局、あのバングルを買う事はなかった。
縁がなかったなんて考える。
そして帰ってきてからも思う。
”あれはやっぱりやりすぎだ”と。
”ケン”のおかげで冷静さを取り戻す事が出来た。
なんとなく親に感謝した。

 
 
その後も沢山のアーティストに会うことが出来て楽しい時間を過ごす事が出来た。
今後に繋がる素晴らしい仕込みも出来た。
”SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット”大満足である。
少しでも興味ある方は行って頂きたい。
嵌ること間違いない。
120%の満足をお約束致します。
 
戦利品。VINTAGEを中心とした素晴らしいアクセサリー達を是非、店頭でご覧下さい。
 
続く。


2013年9月15日日曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.7

『続々•SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
パットとマーラに会えて少し気分も落ち着いた。
しかし、あまり時間をかける事も出来ない。
何と言っても午前中が勝負なのだ。
ひとつでも多くの作品を直に見る為にはるばる日本からやって来たのだから。
忙しそうなパットに"また後でくるね”と声を掛け、僕は通りを歩き始めた。


通りを歩く。
ーーー胸が高鳴る。
ーーーテンションが上がる。
ーーーとにかく...楽しい。
どことなく美術館を歩く感覚に似ていた。

そこにはど度肝を抜く作品達と素晴らしいアーティスト達との出会いがあった。

Philander.B.Begay

Darryl.Dean.Begay

Cody.Sanderson

Jennifer.Curtis

Aaron.Anderson

Richard Chavez

Alex.Sanchez

Monty.Claw

Raymond.C.Yazzie

この人達ヤバい。
神々しささえ感じてしまう。
オシャレとかそうじゃないとかを度外視するほどの格好良さがそこにはあった。
まさしく”Fashion”であり”Art”であり”Culture"そのものだと感じた。
"ヤバい”の独り言が止まらない。

これまではスタンプワークのオールドスタイル”The.男気”的なジュエリーにしか目がいく事がなかったが今はこんなコンテンポラリーで斬新なデザインが僕の心を掴んで離さないでいる。

インディアン・ジュエリー。
1853年頃、その歴史は始まる。
一人のメキシコ人の鍛冶屋がナバホ族のアツィディ・サニという男に銀の使い方を教えたと言う。
西部開拓時代、キット・カーソン率いるアメリカ軍はナバホを攻撃する。部族は故郷を追われ陸軍の砦の中で真鍮や銅を使って馬具を作らされる。厳しい寒さと飢えとの戦い。そんな過酷な環境の中でも黙々と仕事をこなしていくナバホの人達。サニはその余った材料でブレスレットやペンダントを作り、その技術を仲間にも広めていく。1868年、条約の下、現在のリザーベーション(保留地)に帰る事を許される一族。荒れ果てた農地の回復と共にジュエリー作りは生活する為の必然の作業となっていく。そうやって技術は向上し、次の世代へと受け継がれていく。
”温故知新”
その心こそがネイティブアメリカンの魂の根源である。

独特の趣を積み重ねていくヴィンテージジュエリー。
日々、進化し続けるコンテンポラリージュエリー。
止まることのない飽くなき探究心。

この世界、奥が深い。
のめり込む人がいる事も大いに理解出来る。

続く。

2013年9月14日土曜日

ALternA NEW " METAPHORE // SUPER TRAMP COAT " 2013.9.14


こんにちは。

本日、METAPHORE(メタファー)より入荷がありましたのでご紹介。まず、

//METAPHORE 2013.AW SEASON THEME//
 Way down on the  high lonely (高く孤独な道を行け)アメリカの小説家、Jon Krakauar の IN TO THE WILD よりインスピレーションを受けた言葉である。
IN TO THE WILD の中に Way down the High Lonely という言葉は出てこない。主人公であるクリストファー・マッキャンドレスが孤独の世界に分け入っていく様な生き方を、METAPHOREの視点で捉えた時に生まれた言葉である。
METAPHOREのプロダクトは、小説の中に存在する登場人物を想定して作られている。今季METAPHOREが提案するのはスーパートランプスタイル。
IN TO THE WILD のクリストファー・マッキャンドレスの旅での仮名アレクサンダー・スーパートランプがアラスカから生還し、更に旅を続けていたらどのようなスーパートランプスタイルで旅を続けたのかを想定して作られたコレクション。

 テーマの名の通り”SUPER TRAMP COAT”が入荷しました。



price : 47.250 yen
col : BEIGE
size : 1.2 (S.M)

02DERIV.との共同開発商品。
高密度で織られたホースクロスを使用したスーパートランプコート。ライナーベストはマイクロリップで製作されており、ベスト単体での使用も可能。付属の袋にベストを収納する事ができ、収納後は飛行機などで使う簡易枕に変形する。

TRAMP(トランプ)とは放浪者のこと。SUPER TRAMP COAT は旅慣れた旅行者の為に作られたコート。3WAYの着こなしが出来る。

Alexander Supertramp はクリスが放浪中に名乗った仮名。
彼がアラスカから生きて帰って、まだ旅を続けているならばこのようなコートを必要したことだろう。
 



















辻本が飛行機でこのベストを枕に変形させてたらマイクとの会話も盛り上がっただろうね。

2013.9.14 ALternA Matsuura

2013年9月13日金曜日

ALternA NEW "TOWN CRAFT"

こんばんは。

さて本日の入荷。

TOWN CRAFT (タウンクラフト)
アメリカにて1902年創業の老舗デパート・J.C.PENNEYSのプライベートブランドである
(廃番だったが2007年からサニースポーツが現代に蘇らせました)

そのなかでも秋冬に必要不可欠なサーマルのご紹介。





ハニカム編み(蜂の巣状)を採用したヘビーウェイトなビンテージサーマルです。アームホールから手首にかけてタイトになっており保温性は勿論、インナーとしても非常に活躍するアイテム間違いなしです!
price : 3.990 
size : M,L
col : GRAY and NATURAL

2色とも必要でしょ?

あっそうそうコレやってます↓


2013.9.13 ALternA Matsuura

アメリカ買い付け2013年8月 vo.6

『Mike』
”Hello,I'm Mike.Nice to meet you.”
座席に腰を下ろすなり突然話しかけてきた。
ソルトレイク〜アルバカーキ間機内。
SWAIA開催14時間前の出来事。

目玉の青い金髪刈り上げの男だった。
顔もリアクションも海外ドラマなんかで見る典型的な調子の良い外国人。
苦手なタイプだ。

ふと、映画”ファイトクラブ”の一節を思い出す。
”小さな1回分パックの人生旅。
砂糖もミルクも一回分。
バターも一回分。
一回分のシャンプー液。
一回分のうがい液。
一回分の石鹸。
機内で出会う人間は一回分の友達。
離陸から着陸までの時間を共にする。”

話しかけられたのは初めてじゃない。
4回に1回は声を掛けられる。
でもそれは挨拶をかわす程度で話込んだりしない。
2、3分のやり取りが普通だろう。
しかしこのマイクという男、一人でしゃべり始めて止まる気配がない。
”どうしたものか”
僕は愛想笑いを作り始めた。

話の内容は1が僕に対する質問で残りの9がマイクのエピソードトークだ。
何となく面白い事を言ってるんだろうなというのは分かる。
でも細かいニュアンスが理解出来ないのでそこまで笑えない。
熱弁をふるうマイク。
あまり受けない日本人。

20分くらいたって徐々にトークの勢いがなくなる。
マイクもようやく不穏な空気を察知したようだ。
話も途切れ途切れになりー
しばしの沈黙。
急に気まずい空気が流れ始める。
僕もどうすれば良いか分からずマイクとは逆の方向に体を向け沈黙するほか無かった。

"Um...Ah....Um...mmm...."
なにか声を出すマイク。
この雰囲気の中それでも僕に話掛けようとしているようだ。
気まずい空気を打開しようと必死で考えてる様子が背中から伝わってくる。

ちょっとウザいマイク。
しかしこんなにも必死で僕とコミュニケーションを取ろうとしてくれている。
”Foo~Um......Ah...."
こいつたぶん良いヤツだ。
僕はマイクを誤解していたのかもしれない。
少しだけ申し訳ない気持ちになる。

”マイク、ありがとう。次は僕が頑張る番だ!”
よし、これとこれを質問してこう言ってきたらこう返そう。
あそこに行って来た時の事を話そう。
話の流れを頭の中で構成し準備する。
”たまたま隣になった何かの縁だ。TALKしよう”
息を飲み、さり気なく振り返り話を始めようとした。

そこにはデッカいヘッドフォンをがっつりつけて目を閉じているマイクの姿があった。

 (※イメージ)
ただの癖だった。
音楽にのると声が漏れてしまうという癖だった。
”....."
その後、ペースを乱され寝る事さえできずに時間は過ぎていく。

2時間後、アルバカーキに到着。
最後の挨拶もなく誰よりも早く飛行機を降りていくマイク。

一回分の”Mike”はもうお断りである。

『続々SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
へと続く。

2013年9月10日火曜日

ALternA "Pat Pruitt" 2013.9.10

こんにちは。
さて昨日にアメリカ買い付け2013年8月 vo.5で名前が出ていた

 "Pat Pruitt(パット・プルイット)

*アーチスト詳細は昨日のブログ参照してください。

 LINEUP



 price : 39.690 yen

Metalsmith
シンプルですが存在感があるバングルです。
彼のインディアンジュエリーへの”こだわり”が感じられる作品です。

一度、腕に付けて下さい。

良さがわかります。

2013.9.10 ALternA Matsuura

2013年9月9日月曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.5

『続•SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
駐車場を後に通りへと足を踏み出す。
そこには人、人、人。所狭しと展示される作品達。
テンションが一気に上がる。この感じ期待せずにはいられない。
会場を見渡す。思っていたよりも開放感がある。
今まで行ったどのマーケットよりも大きそうだ。
”これがインディアン・マーケットか..."
僕はあちこちに目を走らせながら歩き始めた。
たくさんの人の興奮と熱気が体中に伝わってくる。
自然と早足になっている事に気付く。
”落ち着け、先は長い”
自分にそう言い聞かせた。


僕は※パット、クリス、マーラを探す事にした。
パットとクリスは兄弟。マーラはパットのフィアンセだ。
今年の3月にはじめて会ったのだがその日すぐに仲良くなる事が出来た。
家にまで出向きご飯もご馳走になった。
とにかく、この3人自然体で気取りが無い。
仕事以上のフレンドリーな関係を築けるだろうなと直感的に思った。

早速、フリーペーパーで場所を確認しブースへと向かった。
すぐにブースは発見する事は出来たがそこはすでに黒山の人だかり。
割り込めそうな雰囲気ではなかったがちらっと隙間から顔を出すことが出来た。

そこには来客の対応に追われるパットとマーラの姿があった。
”元気そうだ”たくさんの人と笑顔で会話を楽しんでいる。
僕は手を振った。二人は僕に気が付いてくれた。

久しぶりにあったパットとマーラは満面の笑みで僕をハグしてくれた。
慣れないハグは気恥しいが会うだけで喜んでくれる友達はそう多くはない。


※Pat Pruitt(パット・プルイット)
ニューメキシコ州Paguate。彼はクォーターです。
1/4はLaguna pueblo。1/4はアパッチ。1/2は白人です。
彼のジュエリーの根底は伝統的なインディアンジュエリーである銀や銅を使用した物から始まります。しかし、作り続けていくうちに彼はありきたりな材料、技術に物足りなさを感じ始めます。市場は伝統的なものが溢れていて、何より自分の感覚で納得する物が作りたいという欲求が強くなっていきます。彼はシルバースミスであるグレッグ・ルイスのもとで勉強しその後、南メソジスト大学(ダラス)で機械工学を研究します。彼は研究に没頭します。自分の知らない世界と持っている技術との融合により素晴らしいものが出来るという確信が強くなっていきました。その大学で得た機械装置の技術、材料の知識などが現在のスタイルの基盤となります。
彼の作品は今までインディアンジュエリーでは使われる事が無かった材料を数多く使用します。アルミニウム、ジルコニウム、カーボンファイバー、スティングレイ(エイ革)などです。革新的な材料とそれを凌駕する最先端技術によりPat Pruittの作品は生み出されます。
彼はクォーターです。
その柔軟な感性と探究心そして信念が”NEXT GENERATION”新しいインディアンジュエリーの扉を開きます。彼はPaguateを愛し、そこに尚、住み続けながら製作を続けています。それこそがインディアンジュエラーとしての彼の誇りです。
彼は自らをSilversmithとは言いません。彼は”Metalsmith”です。



Firstのリボンも誇らしげにパットのブースは話すタイミングが無いくらい大盛況。老若男女の人だかり。手頃なイヤリングなどは奥様方に好評のようでまさに飛ぶ様に売れていた。僕は気を使いながらも数点のバングルを試着し余韻に浸っていた。
ーーーーー”この感じやっぱりいいな”

そんな中、ニューエラを後ろ向きに被った高校生くらいの男の子がパットにガツガツと話しかけてきた。”これは何の素材?””これはいくら?””これは安くならない?”かなり欲しいのだろう。次から次へと質問を投げかける。気持ちはわかる。だが、高校生が買える値段ではない。彼もわかっているのだ。御座候を焼いている鉄板を見るかの様に真剣な眼差しでショーケースの中を見つめるほかないことを。

しばらくすると別の男が顔をのぞかせた。変身前のスーパーマンのような風貌の男だ。見た感じは僕よりも年下だろう。ピストバイクにでっかいヘッドフォンを首に付けていた。ピタッと横分けに眼鏡を掛けていたが少しチャラい印象を受ける。”それ見せて”と軽い感じでパットに話しかけた。さっきまで僕が見ていたお気に入りのバングルだ。手首につけ始める。
”あれめっちゃかっこええよな。人がつけてるの見るとなおさらええわ。でも高いねんな...”と心の中で思う。男はそのバングルを外し”そっちのも見せて”と先程よりも少しだけ安いバングルをつけた。
”まあまあそっちやろな。それでも結構するで。いけるか?”男はそれもまた外した。”それも試していい?”目移りしたのかボロタイにまで手をつけてみる。
”全然ちがうものですやん。それ、いつ付けんの?”大きなお世話な感想が心の中で次から次へと溢れ出す。
そして、男は言った。

”Everything"ーーーーー

そう。MISIA以来の"エブリシング"と。


その時間、約3分。
$6,000-ほどの買い物を心斎橋食堂でおかずを選んでるかの如く決めてしまった。
それもメインばかりを狙い撃ちにして。
”サバ煮に肉じゃがに唐揚げだ。完全なカロリーオーバーだ。メタボになってしまうぞ。小鉢も取れ 小鉢も”
きゅうりの酢の物でさえ選んでない僕を差し置いてマンオブスティールはどんどんとトレイにおかずをおいていく。
”こいつマジか。IT関係か.....絶対、IT関係やわ!”
そんな妄想までしてしまう。
そして、この会場にいる全ての人が富豪に見えてくる。
あのよぼよぼのおじいちゃんだってどこかの大企業の会長だ。
この聞き分けの悪そうな子供だって地主の息子だ。
きっとそうだ。そうに決まっている。
この会場で所得が低いのはこのオレとあのニューエラボーイくらいだ。
そのボーイもその様子を見てスーッと人ごみへと消えていった。
僕はというと強ばった顔で”Good Choice!"というのが精一杯だった。

会計を済ませその男は店を後にした。
ちらっとパットと目があう。
パットは”オレやるやろ”という顔で少し頷いた。僕は”よかったね”と親指を立てたがパットには申し訳ないがちょっとイラッとした。世界共通でドヤ顔はイラッとくるものなんだと知った。

続く。

ALternA "FUJITO DENIM" 2013.9.8

2002年に"FUJITO"を始めて常に定番として作り続けている"Acer"と"Thea"ジーンズのご紹介です。


 "Acer"


  
 
 
 
 
"Acer"と呼ばれるストレートジーンズは14.5ozのセルビッチデニムを使用し、旧式の力織機で織った生地や、縫製の技術が詰まっています。ボタン フライのストレートなシルエットは、時間を掛けて履いていくうちにインディゴの経年変化が魅力です。デザインは飽きのこないオーセンティックな仕上がりな のでTシャツはもちろん、シャツやジャケットと合わせたり、色々な場面で着用を楽しんで頂ける一本です。

price : 24.150 yen
size : 30.32.34 

"Thea"
 
 
 
 



"Thea"は505typeをもとに製作しています。シルエットは腿の部分にゆとりがあり、裾にかけてテーパードしています。細身のシルエットなので、 形が非常にきれいに見えます。14.5ozのセルビッチデニムはコシがありつつ、非常に履きやすいのが特徴です。旧式の力織機で織った生地や、縫製の技術 が詰まったクオリティは履いていくうちに馴染んでいきます。フロントはジップ仕様で股上は深めです。また、ヒップのポケットは少し大きめで後ろからのシル エットも存在感があります。
サイズの展開は28inchから36inchとなっていますので、女性の方もデニムを楽しんで頂けます。



price : 24.150 yen
size : 30.32.34 

個人的な主観ですが、トレンドでデニムをたくさん購入する必要はない。
気にいったデニムにシャツやTシャツ、スニーカー、ブーツ。
レザーにコート。
これで充分。

その1本にこのデニムはなりえます。

是非、ご試着しにいらしてください。



 デザイナー藤戸さんが3年履いてたデニム。

これ間違いない。

2013.9.8 ALternA Matsuura