2013年9月8日日曜日

アメリカ買い付け2013年8月 vo.4

『SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
2日目、朝。
1時間の仮眠の後、しっかりと5時に目覚める。
深い眠りだったせいか時間の割には頭はすっきりしていた。
外はまだ暗い。それに少し肌寒い。
眠たい目をこすりながら身支度を始めた。

なぜ、こんなにも早く...それには理由がある。

今回のメインイベントである”サンタフェ•インディアン•マーケット”。
一度は行ってみたいと夢にまで見たインディアン最大の祭典。
1100人のアーティストと15万人の世界中のコレクターやバイヤーがたった二日間で一同に顔をそろえる。アーティストのほとんどがこれに照準を絞り込み創作活動に精を出す。作品もジュエリーだけではない。ペインティング、バスケット、テキスタイル、フェテッシュなど部族入り乱れての様々な作品が街の通りを占領して展示販売されるのである。その作品一つ一つを目の肥えた審査員が部門別に採点、審査を行い、その中で特に素晴らしい作品にはFirst(1位)、Second(2位)を表すリボンが誇らしげに添えられる。このインディアン•マーケットでのリボン獲得はアーティストにとっての大きなステイタスであり誇りそのもの。また、コレクターからは目印となり、わかりやすくプライスにも反映されるものなのだ。午前7時にマーケットは開く。と同時にリボン付きの作品達は次から次へと売れていく。もし、遅れる様な事があれば買う事は勿論、見る事さえ出来ないのだ。

熱いシャワーを頭から浴び、一気に仕事モードへと切り替える。
そして、お疲れ気味のフォードのエンジンをかけ、希望の地サンタフェへと車を走らせた。

午前6時50分、サンタフェ会場付近。オープンまで残り僅か。
やはり結構かかる。帰りのことを考えると気が重いが今はそれどころではない。
案の定、道も混んでいる。道路を横切る人の数も増えて来ている。
小走りな人を見ると勝手に”敵”だと思ってしまう。
”早くしなければあのおばちゃんに先にやられる”
被害妄想もどんどんと膨らんでいく。
ぼやぼやしている時間はない。

会場から一番近い駐車場に車を停めようと指示器を出す。
そこに立っていたおじさんは”×”のジェスチャー。”いっぱいか”
隣の駐車場を覗き込むと”FULL"の文字。”ここもか”
少し車を走らせる。次の駐車場...ダメ。
車を走らせる。ここは...高い。”アカンな”

そんな時、ふと気付く...
オレは今、人生初の駐車場探しをしている。
33歳で免許を取ったあのオレが自ら運転して駐車場を探している。
日本であまり運転する事はない。年に3回くらいだろう。あったとしてもだだっ広いアウトレットの駐車場に停めることぐらいだ。繁華街になんて今まで行ったことがない。
”オレは大人だ...♪”
感傷に浸る。
って何をハニカんでいる。
どうかしているぞ。
なぜ今そんな事を思うんだ。
寝ていないからなのか?
しっかりするんだ、オレ!
冷静とセンチメンタルの間。意識をしっかりと保つ。
そして、これだけははっきりとしてきた。
オレは今、駐車場探しをしている自分に”酔っている”。
曲がる時のハンドル捌きが自分でもビックリするほどイキっている。
キュルキュルキュルじゃない。
”あれっ?ここもいっぱいやん”
”ちょっとここ高いわ”
何を楽しんでいるんだ。
そんな事を喜んでいる場合じゃないぞ。
お前はただ車を停めれないだけだ。
冷静とセンチメンタルがせめぎあう。
正直、自分でも気持ち悪いと思う。
でもどうしても人に言いたい。
ハンドルをにぎりながら”どこもいっぱいやわ”と。
あの運転手だけの特権”もうちょっと走らしてみるわ”を。

そんなしょうもない事を本当に考えていると時計は7時10分。
焦って$25もする駐車場に車を停めてしまった。後悔先に立たず。
しかし落ち込んでいる暇など無い。急いで向かわなければ後悔だけではすまされない。

駐車場を後に通りへと足を踏み出す。
そこには...


Wow...
続く。

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