”Hello,I'm Mike.Nice to meet you.”
座席に腰を下ろすなり突然話しかけてきた。
ソルトレイク〜アルバカーキ間機内。
SWAIA開催14時間前の出来事。
目玉の青い金髪刈り上げの男だった。
顔もリアクションも海外ドラマなんかで見る典型的な調子の良い外国人。
苦手なタイプだ。
ふと、映画”ファイトクラブ”の一節を思い出す。
”小さな1回分パックの人生旅。
砂糖もミルクも一回分。
バターも一回分。
一回分のシャンプー液。
一回分のうがい液。
一回分の石鹸。
機内で出会う人間は一回分の友達。
離陸から着陸までの時間を共にする。”
話しかけられたのは初めてじゃない。
4回に1回は声を掛けられる。
でもそれは挨拶をかわす程度で話込んだりしない。
2、3分のやり取りが普通だろう。
しかしこのマイクという男、一人でしゃべり始めて止まる気配がない。
”どうしたものか”
僕は愛想笑いを作り始めた。
話の内容は1が僕に対する質問で残りの9がマイクのエピソードトークだ。
何となく面白い事を言ってるんだろうなというのは分かる。
でも細かいニュアンスが理解出来ないのでそこまで笑えない。
熱弁をふるうマイク。
あまり受けない日本人。
20分くらいたって徐々にトークの勢いがなくなる。
マイクもようやく不穏な空気を察知したようだ。
話も途切れ途切れになりー
しばしの沈黙。
急に気まずい空気が流れ始める。
僕もどうすれば良いか分からずマイクとは逆の方向に体を向け沈黙するほか無かった。
"Um...Ah....Um...mmm...."
なにか声を出すマイク。
この雰囲気の中それでも僕に話掛けようとしているようだ。
気まずい空気を打開しようと必死で考えてる様子が背中から伝わってくる。
ちょっとウザいマイク。
しかしこんなにも必死で僕とコミュニケーションを取ろうとしてくれている。
”Foo~Um......Ah...."
こいつたぶん良いヤツだ。
僕はマイクを誤解していたのかもしれない。
少しだけ申し訳ない気持ちになる。
”マイク、ありがとう。次は僕が頑張る番だ!”
よし、これとこれを質問してこう言ってきたらこう返そう。
あそこに行って来た時の事を話そう。
話の流れを頭の中で構成し準備する。
”たまたま隣になった何かの縁だ。TALKしよう”
息を飲み、さり気なく振り返り話を始めようとした。
そこにはデッカいヘッドフォンをがっつりつけて目を閉じているマイクの姿があった。
(※イメージ)
ただの癖だった。音楽にのると声が漏れてしまうという癖だった。
”....."
その後、ペースを乱され寝る事さえできずに時間は過ぎていく。
2時間後、アルバカーキに到着。
最後の挨拶もなく誰よりも早く飛行機を降りていくマイク。
一回分の”Mike”はもうお断りである。
『続々SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
へと続く。
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