『続々々•SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット』
アーティストとの直接のやりとり。そんな事が出来るのもこのマーケットの醍醐味だろう。
ジュエリーに限らず、作り手からの直接の声と言うものは不思議と魅力があるものだ。
Ken.Romero
雑誌やネットでの登場も多いナバホ族のトップジュエラー。
この人のインレイと呼ばれる石を嵌め込む技術、そしてカラーリングは素晴らしい。
ふんだんに使用した一つ一つの石のクォリティの高さもこの人が有名になった要因だ。
こんな贅沢な作品をつくるアーティストはそうは多くない。
しかし、あまり僕の好みではない。やりすぎ感が少し恥ずかしいと思ってしまう。
そんな彼のブースを見つけて有名人を見る感覚で少し覗いてみた。
このブースも盛況でとにかく人がすごい。
僕は人混みに紛れて冷やかし半分で試着してみる事にした。
一つのバングルを手首につける。
反射的に思う。
”これはさすがにやりすぎだ”
想像する。
これをもし買って帰ったとしたら.....
後輩が半ニヤで”メッチャゴツイのつけてますやん”といじってくるのが目に浮かぶ。
全然いらないくせに”一回つけさせて下さいよ”と興味のあるフリをするヤツも必ずいる。
”あのバングル見た?見失ってるよな。どこ向かってるんやろな”という陰口まで聞こえてくる。
.....長介ばりの”ダメだこりゃ”
声が漏れる。
戻そうと思っていると作った本人ケン・ロメロが声を掛けてくる。
『それ最高だろう?今回の中で俺の一番の自信作なんだ。』
長髪の凛々しい顔。独特な雰囲気がある。有名人を見た時のオーラみたいなモノを感じる。ケンはキラキラと目を輝かしながら話し始めた。デザイン、カラーリング、石の説明、製作の過程などジュエリーへの情熱をこれでもかと言う程ぶつけてくる。
説得力がある。
この男、澄まし顔のくせにアツい。
この感じ、嫌いじゃない。
自分の手首を見返してみる。
不思議な事にすでにそのバングルは”やりすぎ”ではなくなっていた。”いや、むしろこの感じを探していた”とさえ錯覚してしまう。さっきの妄想も搔き消すくらいの物欲がガルルと襲ってくる。
頭がファ〜っとなっている。
”.....これいったろかな”
危うく、クレジットカードを渡しそうになる。
熟考している僕にケンが名前を訊いてきた。
僕は持っていた名刺を渡しながら名前を言った。
『ケンジロー?お前にもケンがつくのか。オレの名前もケンだ!一緒じゃないかっ!ワッハッハ。』
テンションが一気に上がって強めに肩を組んでくるケン・ロメロ。ブラザー的な感じで距離を縮めてくる。僕はそのテンションの上がり方にちょっと引いた。
そして、心の中で思う。
”ちょっと遠くないですか?”
地元が一緒だ。分かる。
高校の先輩だ。分かる。
名前の”ケン”が一緒だ。結構いるっしょ。ちょっと遠いっしょ。
”ケンジロー”なら話は分かる。それなら僕も肩を組み返す。
でも、この人は”ケンジロー”じゃない。
ただの”ケン”だ。2文字しかあっていない。
”えっ、君、山田っていうの?!ウッソー。オレ、山村。”山”一緒やん。奇遇やな”でがっつり握手は出来ない。
温度差。
僕は”ちょっと考えます”と言ってその場を立ち去った。
結局、あのバングルを買う事はなかった。
縁がなかったなんて考える。
そして帰ってきてからも思う。
”あれはやっぱりやりすぎだ”と。
”ケン”のおかげで冷静さを取り戻す事が出来た。
なんとなく親に感謝した。
その後も沢山のアーティストに会うことが出来て楽しい時間を過ごす事が出来た。
今後に繋がる素晴らしい仕込みも出来た。
”SWAIA - サンタフェ•インディアン•マーケット”大満足である。
少しでも興味ある方は行って頂きたい。
嵌ること間違いない。
120%の満足をお約束致します。
戦利品。VINTAGEを中心とした素晴らしいアクセサリー達を是非、店頭でご覧下さい。
続く。
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