パットとマーラに会えて少し気分も落ち着いた。
しかし、あまり時間をかける事も出来ない。
何と言っても午前中が勝負なのだ。
ひとつでも多くの作品を直に見る為にはるばる日本からやって来たのだから。
忙しそうなパットに"また後でくるね”と声を掛け、僕は通りを歩き始めた。
通りを歩く。
ーーー胸が高鳴る。
ーーーテンションが上がる。
ーーーとにかく...楽しい。
どことなく美術館を歩く感覚に似ていた。
そこにはど度肝を抜く作品達と素晴らしいアーティスト達との出会いがあった。
Philander.B.Begay
Darryl.Dean.Begay
Cody.Sanderson
Jennifer.Curtis
Aaron.Anderson
Richard Chavez
Alex.Sanchez
Monty.Claw
Raymond.C.Yazzie
この人達ヤバい。
神々しささえ感じてしまう。
オシャレとかそうじゃないとかを度外視するほどの格好良さがそこにはあった。
まさしく”Fashion”であり”Art”であり”Culture"そのものだと感じた。
"ヤバい”の独り言が止まらない。
これまではスタンプワークのオールドスタイル”The.男気”的なジュエリーにしか目がいく事がなかったが今はこんなコンテンポラリーで斬新なデザインが僕の心を掴んで離さないでいる。
インディアン・ジュエリー。
1853年頃、その歴史は始まる。
一人のメキシコ人の鍛冶屋がナバホ族のアツィディ・サニという男に銀の使い方を教えたと言う。
西部開拓時代、キット・カーソン率いるアメリカ軍はナバホを攻撃する。部族は故郷を追われ陸軍の砦の中で真鍮や銅を使って馬具を作らされる。厳しい寒さと飢えとの戦い。そんな過酷な環境の中でも黙々と仕事をこなしていくナバホの人達。サニはその余った材料でブレスレットやペンダントを作り、その技術を仲間にも広めていく。1868年、条約の下、現在のリザーベーション(保留地)に帰る事を許される一族。荒れ果てた農地の回復と共にジュエリー作りは生活する為の必然の作業となっていく。そうやって技術は向上し、次の世代へと受け継がれていく。
”温故知新”
その心こそがネイティブアメリカンの魂の根源である。
独特の趣を積み重ねていくヴィンテージジュエリー。
日々、進化し続けるコンテンポラリージュエリー。
止まることのない飽くなき探究心。
この世界、奥が深い。
のめり込む人がいる事も大いに理解出来る。
続く。
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